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COPDの治療

COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は慢性閉塞性肺疾患の英名で、代表的な慢性呼吸器疾患の一つであり、恐ろしい病気として知られています。

有毒なガス等の吸入(ほとんどは喫煙です)などがきっかけになり、肺胞の破壊や気道炎症がおき、息切れが生じる病気です。本邦においては40歳以上の8.6%の方ががCOPDに罹患しており、500万人以上の患者が存在するといわれておりますが、適切な診断・治療を受けておられる方はごく一部で、大半の方が未診断・未治療の状態にあり、まず診断率の向上が必須であります。本邦では定期的にガイドラインが改訂されており、「COPD診断と治療のためのガイドライン2022 第6版 日本呼吸器学会」が最新のガイドラインとなり、当院ではガイドラインに準拠しつつ、個々の病態について適切な治療方針を決定する方針であります。

症状について

COPDの初期は無症状で、自覚のないことがあります。病気が進行すると呼吸の効率が悪化して、息切れや、痰の増加などの症状が出てきます。初めは階段や坂道での上りの際に症状が現れますが、次第に会話などの日常動作にもあらわれ、身体活動性も低下します。重症化すると、通常の呼吸が困難になり、酸素吸入療法が必要になることがあります。なお、ゆっくりと進行し、息切れなどの症状が現れたときはすでに将来の酸素吸入が避けられない病状になっていることも珍しくありません。更に、壊れてしまった肺と正常肺の境界からは、肺がんが発症しやすいとされています。COPDは呼吸器症状のみならず、骨粗鬆症や心疾患、糖尿病などの併存症を有することがあり、肺だけでなく全身の老化が加速される疾患と考えられます。

治療について

以前は治療方法がない病気と言われていたこともありますが、現在では、破壊されてしまった肺胞を再生することはできないも、治療介入可能な病気で、適切な治療介入が疾患進行の抑制および健康寿命の延長に寄与するとされています。呼吸器感染症や大気汚染に起因することが多い「COPDの増悪:息切れの増加、咳や痰の増加、胸部不快感や違和感」を抑制することが生命予後改善につながると考えられています。

喫煙されている方には、まず禁煙からはじめていただきます。感染等によるCOPDの増悪を起こすと更に呼吸機能は悪化するため、定期的なインフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチンの接種が強く推奨されております。症状や呼吸機能をみながら、長時間作用型抗コリン吸入薬(LAMA)や長時間作用型ベータ刺激吸入薬(LABA)などの薬物投与による治療を考えます。喘息を合併している方は吸入ステロイド薬(ICS)が必要であります。COPDの増悪を繰り返す方や末梢血好酸球数が増加している方も、肺炎の増加等には注意が必要ですが、吸入ステロイド薬の追加が有用な可能性があります。なお、吸入器に関しては、個々の症例で適切と思われる吸入器や吸入補助器具を選択させていただきます。その他、喀痰調整薬や少量マクロライド長期療法、低用量テオフィリン内服なども症例により追加させていただきます。適宜胸部画像撮影を行い、肺がん等の発症がないかの確認も行います。全身の併存疾患や合併症も適宜評価が必要です。また、呼吸リハビリテーションの重要性も示唆されており、症例によっては基幹病院とも連携させていただきます。

自覚症状が無くても、特に喫煙されている方は、COPDである可能性があります。出来るだけ早い段階で当院にご相談ください。

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